不安になる病気:パニック障害 & 社交不安障害

★パニック障害

終電までの残業、徹夜、海外出張の連続などストレスをため込みやすい職場で忙しさが数ヶ月から数年続いて累積疲労が悪化すると、ある日突然、「死ぬんじゃないか」「気が狂うんじゃないか」という発作に襲われ、「また今度起こったらどうしよう?」という恐怖に取りつかれます。スケジュールがびっしり詰まっている人がある日突然、発作に襲われるのです。しかもその発作がいつ起こるかまったく予測不能であることが特徴です。飛行機や満員電車や人混みが平気でも、カフェでリラックスしていて突然パニック発作ということが起こります。

 

★★社交不安障害(以前は社会不安障害と呼ばれていました)

この病気は、小学校、中学校、高校時代に本人のすでに忘れている「対人関係トラウマ」があって、社会人になってから(あるいは大学のゼミの発表などで)このトラウマが表面化して、会社のプレゼン、他人と話すこと、他人と食事すること、知らない人が隣に座る飛行機や新幹線、知らない人に囲まれた満員電車や満員のエレベーター、人混み、美容師と長時間はなさなければいけない美容院など「ニガテな対人場面」で「繰り返し」発作が起こったり、起こるんじゃないかという恐怖に圧倒されたりします。特に親の都合で転校を繰り返した人に多いようです。

 

 パニック障害がテロの爆弾のように「いつ起こるかわからない」のと対局です。

社交不安障害は対人関係の「苦手意識」のある場面で、繰り返し発作が起きます。

パニック障害は薬で発作を抑えつつ「パニック焦点化」認知行動療法で治します。

社交不安障害は薬で発作を抑えつつ「対人関係トラウマ」を認知行動療法で治します。

 

 

 

<脳科学と心理学の融合>

心理学の無意識は最新の脳科学研究によって説明されるようになりました。詳細は岡野憲一郎先生の著書をお読みください。

人並みはずれた深い洞察力と幅広い教養と驚くべき柔軟性を併せ持った岡野先生は「心理学と脳科学」の橋渡しができる方です。

ヒトゲノムプロジェクトが終了して分子生物学の謎がほぼ解明された2003年からは、脳科学の研究に目が向けられるようになりました。アメリカでは2013年にオバマ大統領のもとで、脳の全ての機能を解析しようという「ブレインーイニシアティブ」が計画されました。2025年までに5500億円もの巨額の国家予算の付いた、アメリカの国をあげてのプロジェクトが始まりました。20世紀後半は分子生物学の時代であり、21世紀前半は脳科学の時代であるといえます。脳科学研究の進歩によって他の医学のすべての分野と同じく脳のメカニズムは徐々にではありますが解明されつつあります。

<認知行動療法>

​認知行動療法は、うつ病治療において薬物療法以外で、世界中で有効性の科学的評価が確立している治療法です。創始者はアーロンベック先生です。

1960年ごろベック先生は、「うつ病」には既存のどの心理学でも説明のつかない独特の認知メカニズムがあることに気づきました。それ以降認知心理学の研究をはじめました。うつ病の認知療法に関する初めての論文が書かれたのは1963年のことでした。それからベック先生の研究は、うつ病のネガティブな自動思考とそれを修正する研究に向かいました。大規模な有効性の実証研究がいくつも行われて、認知療法のうつ病に対する有効性が次第に明らかになっていきました。そして認知療法の実践はヨーロッパなどアメリカ以外にも広がっていきました。その結果1980年代には国際認知療法学会が創設されました。ベック先生はさらに行動療法的手法をも取り込むことで、うつ病の患者さんがより良くなるように研究を重ねました。認知行動療法の有効性の詳細については、ランセット等をご覧ください。​