毎月100時間以上の長時間労働による累積疲労が過労死をもたらします。

(累積疲労→過労死)

長時間労働と睡眠不足により、脳、心臓の微小血管がつまり、脳梗塞や心筋梗塞で一見、突然死のように見える死に方をします。

過労死に至る前に、予防的治療で防ぐことが出来ます。

エビス心療内科はこの治療に力を入れています。

 

 

 

 

板橋中央総合病院に着任してから、私は自分のところに訪れる患者さんだけでなく、他の科から紹介されるありとあらゆる患者さんを診ました。

循環器科、消化器科、呼吸器科、整形外科、耳鼻科、眼科、産婦人科、皮膚科などの患者さんを絶対にお断りせずに全て診ていったことがよかったのです。するとぼんやりと全ての症状が、1つの病気から起こっている気がしてきたのです。ありとあらゆる検査をしても異常がないのに、いろんな症状が出ていたため、多くの患者さんが紹介されてきたことが病気の発見に繋がったことは間違いありません。

主な症状は動悸、胃や腸の痛み、皮膚の痛み、腰の痛み、耳鳴りや音過敏、視力が悪くないのに目がかすんで見えない、朝起き上がれないで一日中つらいなどの今まで「不定愁訴」で片付けられていた症状群は実はたったひとつの病気から生じていたのです。

 

 症状だけの初期、寝ても寝ても眠くて起きられなくなる中期、そこから反転して眠気が段々来なくなる末期と進行し、

 放置すると過労死、過労自殺へと移行することも分かりました。

 運良く出版の話が来て、「累積疲労」はあっという間に出版されました。するとそれを読まれた患者さんが、日本中から来院されるようになりました。わたしはどんどんデータを蓄積して、病気の本質に迫ろうと決心しました。

ひょんなことからテレビ出演の話があり、日本テレビの「思いっきりテレビ」という番組に出演しました。するとどういうわけか、他の番組からも呼ばれて、NHK,テレビ朝日から出演依頼が来ました。そうすると、どんどん忙しくなり、お笑いの人達との掛け合いまでする羽目になりました。そしてある日、某局から超有名お笑い番組のコメンテーターの出演依頼がきてしまいました。これ以上やるとタレントになると直感し、出演依頼をお断りしました。すると満潮から干潮に水が引いていくように全く出演依頼がこなくなりました。生出演に4回も出たため、患者さんの診察がおろそかになっていた私は、正直ほっとしました。

それでは累積疲労の症状を頻度順にまとめてみましょう。

あらゆる科からこられる患者さんをつぶさに観察してみると主訴の症状以外に共通した症状があって、全く同じように進行していることがぼんやりと見えてきました。どの科のどの症状をもった患者さんも同じ治療をするとゆっくりと同じような経過を辿って治っていったのです。そこで私は主訴の症状は違っても同じ病気だと気付いたのです。その病気の進行は同じ経過を辿り、「初期」から「中期」そして「末期」へと進んでいき同じ治療で「末期」から「中期」そして「初期」そして「治癒」へと同じ経過を辿って治っていく経ことがわかりました。その病気を「累積疲労」と命名し、初期、中期、末期と分けて症状の違いを整理しました。初期中期末期の症状は以下の通りです。

累積疲労の初期症状

累積疲労の中期及び末期の症状

今から20年ほど前は、疲れが死に至るという事は、非常識なことで、「疲れは放っておけば自然に取れる」と信じられていました。

日本には過労死とうものが存在すると言い出したのは、むしろヨーロッパやアメリカの人達でした。彼らには月に100時間以上の残業が当たり前とか、週末出勤が当たり前とか、時々徹夜が当たり前という感覚が理解できなかったのです。

現在では<Karoshi>は交番(Koban)と共に、世界中で通用する国際語になっています。二昔前は非常識と言われていた「過労死(カローシ)」という言葉が世界の常識になったのです。

 

そして累積疲労は、治療すれば治ることをも突き止めました。

 

累積疲労のメカニズムは次の5つです。

A)体じゅうの微小血管がつまる、

B)体の細胞を修復する成長ホルモンの分泌が減って死んだままの細胞が溜まっていく、

C)胃と小腸が弱り栄養が消化・吸収出来なくなる、補酵素(ビタミン)や大事な微量元素も吸収できなくなる、

D)体じゅうに10万種類もあるといわれている酵素の活性が落ちる、

脳の微小血管群、とりわけ

 

あ)前頭葉前野の司令塔の微小血管の詰まり

い)心臓の冠動脈の微小血管の詰まり

 

この2つが致命的です。

体の血管は10万キロ、そのうち90%の9万キロメートルでなんと地球二周半もの血管が微小血管で占めているのです。

微小血管は5ミクロンしかないのに、一方で赤血球は7ミクロンもあります。

ですから微小血管は1個なら形を変えてなんとか通っていけるのですが、酵素活性が落ちると、赤血球は数珠状につながってしまい、微小血管を通れなくなって詰まってしまうのです。

そのなかでも脳に多くの微小血管が集中していますから、累積疲労になれば脳の微小血管が徐々に詰まっていくので、あらゆる症状が出てくるのです。

1)(もちろん脳だけではなく、体中のありとあらゆるところに毛細血管網は張り巡らされています)

2)心臓の冠動脈の微小血管が詰まれば、心臓が止まるのですから、こちらは明らかに「致死的」です。

Aは脳の司令塔なので微小血管がつまれば、人間らしさの多くが失われてしまいます。

Dの血管が詰まると、相手が何を話しているのか理解できなります。あるいは話の途中でついて行けなくなります。

Cの血管が詰まると、言葉がしどろもどろになったり、滑舌が悪くなったり、目に見えて無口になったりします。

Eの血管が詰まると、視力が落ちていないのに、焦点が合わなくなったり物がかすんだりボヤッとしか見えなくなります。目が疲れやすくなったり目の奥が痛くなることもあります。

Fの血管が詰まると、物忘れがひどくなり、新しいことを覚えられなくなったり、覚えてもすぐ忘れるようになったり、果ては認知症のようになることすらあります。

Bの血管が詰まると、体のありとあらゆる症状が出ます。Bの部分を拡大してみます。

頭頂部の奥まったところが足です。ここの血管が詰まると足が痺れたり、まっすぐ歩けなくなります。

側頭部の上の方は膝腰胸肩です。ここの血管が詰まると膝痛や腰痛や肩の痛みが出ます。

側頭部の真ん中は手です。ここの血管が詰まると、パソコン仕事が突然遅くなったり、手が痺れたりします。

側頭部の下の方は顔です。ここの血管が詰まると、笑えなったり、滑舌が悪くなって今までのように喋れなくなります。

また唾液が出なくなって喉がカラカラになります。

さらに下の方が詰まると嚥下咀嚼ができなくなり、食欲がなくなります。

  最も重要なのは、前頭葉前野の血管が詰まることです。これで今までできていた瞬時の判断が出来なくなります。

以上の話は血管が詰まる事の症状です。

 

累積疲労では体中いたるところで微小血管がつまってきます。

 

ではリンパ管がつまるとどうなるのでしょう?

1)体がむくんで、口がくさくなったり、カラダがくさくなったりします。

2)免疫グロブリンのうっ滞で風邪をひきやすくなります。

3)突然、アレルギー性鼻炎や花粉症や突然の喘息その他多くの自己免疫疾患にかかりやすくなります。

 

 

では胃と小腸が弱って栄養障害が起こると、何が起こるでしょう?

アミノ酸の吸収障害から体じゅうの細胞が作れなくなります(体じゅうがだるいのは全ての臓器に死んだ細胞が増えてくるからです)。

 

ビタミンの吸収障害から以下の症状が起こります。

ビタミンは、補酵素と総称され、これがないと体の中に2万種類あると言われる酵素が働かないのです。(酵素は補酵素のビタミンがないと活性化されないことを知らない人が多いです)

 

ビタミンA 目がしょぼしょぼ、目の奥が痛い、焦点が合わない。

ビタミンB1 ビタミンB1は筋肉の曲げ伸ばしの際に必要なので、体を動かすたびに痛く感じます。

ビタミンB2 口内炎、口角炎、舌炎が繰り返しできます。

ビタミンB3 酵素活性が落ちて、唾液や胃液が出にくくなったり臭ったりします。

ビタミンB6 アレルギー性の皮膚炎、鼻炎、角膜炎、耳炎が起こります。体中の皮膚が痛くなることもあります。

ビタミンB12 手足がしびれだします。

ビタミンC 体のだるさが取れなくなります。

ビタミンD 骨や体が痛いと感じます。

ビタミンE 手足が冷えてつらくなったり、低気圧が来るとダウンしたり、湿度に弱くなります。

 

これらの症状は、終電までの長時間労働や徹夜の連続、土日の出勤などが積もり積もって起こるのです。

 

累積疲労は初期中期末期と進行します。

初期は症状だけです。

中期は寝ても寝ても眠くなります。

末期になると逆に長くねられなくなったり入眠しにくくなるという「リバース現象」がおこります。

 

累積疲労は放置すると、過労死に移行する怖い病気です。

 

直接の死因は、心臓及び脳の微小血管の詰まりによる、心筋梗塞、脳梗塞が多数を占めます。

 

累積疲労を疑ったら診察を受けて下さい。 

 

 

<脳科学と心理学の融合>

心理学の無意識は最新の脳科学研究によって説明されるようになりました。詳細は岡野憲一郎先生の著書をお読みください。

人並みはずれた深い洞察力と幅広い教養と驚くべき柔軟性を併せ持った岡野先生は「心理学と脳科学」の橋渡しができる方です。

ヒトゲノムプロジェクトが終了して分子生物学の謎がほぼ解明された2003年からは、脳科学の研究に目が向けられるようになりました。アメリカでは2013年にオバマ大統領のもとで、脳の全ての機能を解析しようという「ブレインーイニシアティブ」が計画されました。2025年までに5500億円もの巨額の国家予算の付いた、アメリカの国をあげてのプロジェクトが始まりました。20世紀後半は分子生物学の時代であり、21世紀前半は脳科学の時代であるといえます。脳科学研究の進歩によって他の医学のすべての分野と同じく脳のメカニズムは徐々にではありますが解明されつつあります。

<認知行動療法>

​認知行動療法は、うつ病治療において薬物療法以外で、世界中で有効性の科学的評価が確立している治療法です。創始者はアーロンベック先生です。

1960年ごろベック先生は、「うつ病」には既存のどの心理学でも説明のつかない独特の認知メカニズムがあることに気づきました。それ以降認知心理学の研究をはじめました。うつ病の認知療法に関する初めての論文が書かれたのは1963年のことでした。それからベック先生の研究は、うつ病のネガティブな自動思考とそれを修正する研究に向かいました。大規模な有効性の実証研究がいくつも行われて、認知療法のうつ病に対する有効性が次第に明らかになっていきました。そして認知療法の実践はヨーロッパなどアメリカ以外にも広がっていきました。その結果1980年代には国際認知療法学会が創設されました。ベック先生はさらに行動療法的手法をも取り込むことで、うつ病の患者さんがより良くなるように研究を重ねました。認知行動療法の有効性の詳細については、ランセット等をご覧ください。​